心理的安全性の高い会社にするには
心理的安全性の高い会社にするには
■はじめに
こんにちは、正木鉄工所代表の正木利明と申します。
今回も、私のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
5月1日、ゴールデンウィークでお休みの方も多いかと思いますが、そんな中、私のコラムを読みに来ていただき感謝です。
このコラムは、従業員や取引先の社長様が読んでくれているので、いつも気合を入れて書いています。
そして、コラムをアップする度に、今回のコラムも読んだよ~と連絡をくれる方もいて、本当に嬉しいです。
前回のコラムでは「社内改革に抵抗する勢力と向き合う」というテーマでお話ししたのですが、このコラムを読んでくれた方から・・・
「正木さん、攻めた記事書いたね~笑」とか「あのコラムは本当によかったよ」とか「そのくらいの気持ちで仕事しないと社長業はやってられないよね」など、様々なご感想をいただきました。
社長としての仕事は、会社をもっともっとよくする為に何をするか、何ができるかを考えることだと思っています。
だからこそ、いいことも、悪いことも、このコラムでは包み隠さず本音で書いていこうと思っています。
今回のコラムでは「心理的安全性の高い会社にするには」というテーマでお話ししたいと思います。
今回もお時間があれば、少しだけお付き合いいただければ幸いです。
■心理的安全性の高い会社とは
グーグルが「チームの生産性向上の最重要要素」として、心理的安全性(psychological safety)について実証実験を行いました。
心理的安全性とは、ハーバードビジネススクールのエイミーエドモンドソン教授により提唱された概念で、よりよい仕事をするうえで、チームメンバーの関係性や業績を高める為に、変化に強い組織作りの土台となる考え方のようです。
エドモンドソン教授は、20年以上にわたって工場や経営幹部、病院などあらゆるチームを研究してきました。
そして、心理的安全性の本質は、「チームの誰もが、非難される不安を感じることなく、自分の考えや気持ちを率直に発言できる状態」であり、自然体の自分を安心してさらけだせる環境を作ることだと言われました。
まさに私のコラムも、自分の考えや気持ちを率直に発言できる場所です。
またエドモンドソン教授が1999年に発表した論文では、このように書かれています。
「このチーム内では、対人関係のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い」だと。
つまり、こうした安心できる環境があることで、組織がまとまり、結果として業績を伸ばすことが、心理的安全性なのです。
このように、心理的安全性が高ければ、アイデアや質問を受け止めてもらえると感じられ、自分の意見を聞き入れてもらえる職場なのだと理解してもらえるので、従業員から建設的な提案が増えていくのです。
社長として私自身が、従業員の気持ちをどれだけ理解しているかと言えば疑問は残ります。
また、従業員としても、もっとこうしたい、と言う提案があったとしても、どうせ聞いてもらえないよな、と感じれば話してくれないのです。
その為にも正木鉄工所として、心理的安全性の高い会社にしていこうと思ったのです。
前回のコラムでも書きましたが、提案(意見)と文句は全く違います。
給料を上げろ、残業を減らせ、休みを増やせ、など、このような文句を言い合える会社が、心理的安全性が高いわけではありません。
もっとここを変えたら仕事がしやすくなる、もっとこうしたら生産性があがると思う、など現場の従業員だから感じ取れる建設的な提案を受け入れていくことなのです。
■心理的安全性を高めるには
心理的安全性を高める為に下記の3つの方法があると言われているのでご紹介します。
【1つ目の方法】社長、幹部、リーダーが率先して従業員とコミュニケーションを取る。
これは、私が最も苦手な分野になります。
会社をよくするために、心理的安全性とは、社長や幹部などの上司の言動が大きく影響します。
社長が従業員と積極的にコミュニケーションを取り、従業員が意見を言いやすい雰囲気や環境を作らなくてはいけません。
また、社長が失敗を恐れずに、何事にもチャレンジする姿勢を見せることも大切な要素で、私はコラムを書くことで、自分のお尻にムチを入れようと思っています。
その他、従業員が失敗しても責められない雰囲気作りも大切です。
そうすることで、心理的安全性が高まり、従業員が積極的に行動することができるようになると言われています。
【2つ目の方法】社長や上司と従業員が相談しやすい環境を作る。
社長は従業員が相談しやすい環境を作ることが大切です。
仕事をしていくうえで、疑問や不安や悩みなどを誰かに相談できるという状態を作るということは、従業員にとって心に余裕を作れるようになるからです。
従業員としっかりと話しをすることで、現在の気持ちや仕事に対する姿勢や意見を感じ取ることができ、そうした意見を取り入れ改善していくのです。
また相談されても嫌な顔をせず、親身に話しを聞いていくことで、従業員も安心感して仕事が出来るようになります。
【3つ目の方法】従業員の個性を受け入れる。
従業員には、皆さん当然ながら個性があります。
その個性を社長自身がしっかりと受け入れ、活かし改善することで、居心地のよい会社を作ることです。
人によって感じ方や意見は様々です。
同じ言葉でも受け取る側が変われば、感じ方も変わってくるのです。
従業員からの意見を受け入れる雰囲気を作り、従業員が発言しやすい環境になれば、心理的安全性が高い状態を構築できます。
自主的な発言や行動を引き出し、個性的なアイデアを生み出すきっかけにも繋がるので、結果として会社の業績が伸びるのです。
この3つを私自身が作り上げていくことが、正木鉄工所として、心理的安全性が高い会社組織になると感じています。
■5月から外国人技能実習生を2名採用します!
正木鉄工所として、今月から2名の外国人技能実習生が従業員として働いてくれるようになります。
まだまだ日本語もまともに話すことができないし、育ってきた環境が全く違う国から日本で働くのは、どれだけ大変で心細いかは想像するまでもありません。
私たちは海外旅行に行くだけでも、言葉が通じない不安を抱えるわけですから、ましてや働くとなれば大きな不安の中で来てくれることでしょう。
そんな外国人技能実習生の方にも、働きやすい環境を作ってあげたいと思ったのです。
また今後は、外国人技能実習生だけでなく身体に障害を持たれている方でも働きやすい環境を作り、どんどん採用していければと考えています。
私共の会社は、「毎日、決まった作業を実直にこなしていく仕事」ですので、誰にも取り組めないような作業ではありません。
コツを掴んで慣れてしまえば、高校生でも出来るような仕事が沢山あります。
そうした仕事をこなしてもらえるようになれば、技能の高い従業員には今よりも難度の高い別の仕事に向き合ってもらえるからです。
また特別な技術が必要な仕事は一定数の需要があるので、会社としてもより大きな利益を見込めます。
弊社には、高い技能を持った優秀な従業員が沢山いるのに、彼らの能力を100%生かしきれていないことに、今まで申し訳ない気持ちや、ジレンマがありました。
誰でも出来る仕事ではなく、あなたしか出来ない仕事だと言われれば、やる気やモチベーションも上がり、仕事にやりがいを持って、楽しいと思ってもらえるのではないかと思っています。
そして、そんな従業員を増やすためにも、今回採用する2名の外国人技能実習生さんには本当に期待をしています。
現在、正木鉄工所の福利厚生として外国人技能実習生さんを受け入れる為の社宅も用意しました。
今後は、言葉の通じない外国人技能実習生さんに対しても、しっかりと仕事内容を伝えるために、写真を使ったマニュアルも作っていく予定です。
今いる従業員だけでなく、新たに入社する従業員も含めて、働きやすい会社を作り上げていきます。
■提案箱の設置をします!
大手の会社を見ると、多くの会社で社内に提案箱やご意見箱のようなものを設置しています。
その会社で働いている従業員さんが、会社に対して改善して欲しいことなどを書いて箱に入れるのです。
それを本部で一括集計をして、すぐにでも取り入れられるものであれば採用されるのです。
こうした取り組みは、大手スーパーやファミリーレストランでも採用されています。
これは、従業員ではなく、お客様からの意見を聞き、その内容を従業員にフィードバックして、CSの向上に努めているのです。
弊社は小さな会社ですので、私に直接話しをすることは簡単にできます。
しかし、私自身も忙しく動き回っていることで、ゆっくりと従業員さんと話す時間が取れないことのほうが多いです。
また直接トップである私に、そんな意見を言って生意気だと思われたらどうしょう、嫌われたらどうしよう、と意見を言うのを止めてしまう人も、もしかしたらいるかもしれません。
今まで従業員さんから、こうした意見を聞く環境がなかったことで、私自身が勝手に楽しく仕事をしているものだと勘違いをしていたのです。
ですから、そうした温度差を埋めるためにも、この提案箱の設置を決めました。
以前、ある社長さんにこんなことを聞きました。
弊社と同じように、お昼に毎日お弁当を持ってきてもらっていた会社がありました。
そんなある日、ご意見箱を設置した所、お昼のお弁当が不味い、違うメニューも食べたいと言う意見があがったそうです。
些細な事かもしれませんが、お弁当業者を変えた所、従業員が嬉しそうに昼食を食べるようになったのです。
そして、食堂には今まで以上に活気が溢れるようになったようです。
食欲は人間にとって、三大欲求の一つです。
そのご飯が美味しいか不味いかは、その後の仕事に大きく影響するのです。
会社としても、お弁当の業者を変えるだけなので、出費としての負担はほとんど変わりません。
それで従業員が喜んでくれるわけですから、素晴らしい提案だったです。
こうした小さな積み重ねをしていくことで、1年後、3年後、5年後には、会社が大きく変わっていくと思っています。
正木鉄工所として、この提案箱の設置をし、その提案が採用された人には金一封も考えています。
このコラムを読んでいるあなたが、もしも弊社従業員なら率先して提案箱を活用してくださいね。
あなたの提案が、正木鉄工所を変える力になるのです!
■最後に・・・
エイミーエドモンドソン教授が言われるように、心理的安全性の高い会社にするには、まず従業員さんが、自分の意見を聞いてくれる会社なのだと思ってもらうことが大切です。
私自身も、そうした従業員さんの声や気持ちも知りたいですし、会社を大きくするためには、根っこである従業員さんに気持ちよく働いてもらう環境作りは必須だと思っています。
もしかしたら、この提案箱も誰も活用してくれないかもしれません。
でも、何事もやらなければゼロですが、行動をおこせば、何かしら変化があると思っています。
1年でたった1枚でも、その1枚の提案書が、正木鉄工所を大きく変えるかもしれないのです。
失敗に目を向けるのではなく、どんなことにもどんどん挑戦していくのが大切だと思います。
どんなことも挑戦には失敗はつきものです。
失敗を恐れて行動しないのではなく、失敗したら改善をすればいいのです。
何事もやらずに後悔するより、やったほうがいいと思います。
またどこかのタイミングで、その後提案箱がどうなったのか、ご報告出来ればと思っています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
その他のコラム
- 日本一使えない社長の誕生
-
今年から、この場をお借りして、正木鉄工所代表としてのコラムを綴って行こうと思います。 お時間がありましたら、是非読んでいただければと思います。
⇒詳しくはこちら
- 正木鉄工所で作っている製品
-
2回目となるコラムでは、弊社で作っている製品についてお話しさせていただきたいと思います。弊社の製品が、今日も日本のどこかで誰かのお役に立っていると言う誇りを持って、物作りをしていきたいと思います。
⇒詳しくはこちら
- 正木は夢を持つ人を応援します!
-
3回目となるコラムでは、夢を持つ人を応援します!と言う内容で、書かせていただきました。会社としての就業規則的なルールはありますが、このコラムでは私、正木利明としての個人的な考えや想いも含めてお話しさせてもらえたらと思います。
⇒詳しくはこちら
- 魅力的な人間になるためには
-
4回目となるコラムでは、魅力的な人間になるためには、と言う内容で書かせていただきました。 皆さんの考えが違う部分かと思いますが、私なりの解釈でお話しできればと思います。
⇒詳しくはこちら
- 会社の業績を上げる中間管理職
-
5回目となるコラムでは、会社の業績を上げる中間管理職と言う内容で書かせていただきました。 今回は、紙町工場との統合にまつわる秘話と、弊社専務のご紹介をさせてもらいます。
⇒詳しくはこちら
- ライスワークをライフワークに変えるには
-
6回目となるコラムでは、ライスワークをライフワークに変えるには、という内容で書かせていただきました。 ご飯を食べるたけのライスワークではなく、仕事が楽しいと思えるライフワークにするために、正木鉄工所としての考えを綴らせていただきます。
⇒詳しくはこちら
- あなたは従業員に興味を持っていますか?
-
7回目となるコラムでは、あなたは従業員に興味を持っていますか?という内容で書かせていただきました。今回は私と同じく会社経営をされている方に読んでいただければと思って書かせていただきました。
⇒詳しくはこちら
- 正木鉄工所の原点回帰
-
8回目となるコラムでは、正木鉄工所の原点回帰という内容で書かせていただきました。正木鉄工所として新たにスタートする事業についてお話させていただきます。
⇒詳しくはこちら
- 社内改革に抵抗する勢力と向き合う
-
9回目となるコラムでは、社内改革に抵抗する勢力と向き合う、という内容で書かせていただきました。正木鉄工所だけでなく、多くの企業で似たようなお悩みがあるなら、参考にしていただければと思います。
⇒詳しくはこちら
- 心理的安全性の高い会社にするには
-
10回目となるコラムでは、心理的安全性の高い会社にするには、という内容で書かせていただきました。従業員さんが安心して働ける職場にするために、何をしていくのかお話します。
⇒詳しくはこちら