ライスワークをライフワークに変えるには

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム

■はじめに


こんにちは、正木鉄工所代表の正木利明と申します。

今回も、私のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。



8月になり、暑さが益々厳しくなってきました。

室内にいても熱中症になることもありますので、小まめな水分補給は忘れないでください。

我々のような工場の仕事には大変厳しい季節となりましたが、弊社の社員も暑い中頑張って仕事をしてくれています。



よく工場の仕事は、夏は暑い冬は寒い過酷な仕事ですよね、と言われますが、どんな仕事も一長一短はあると思います。
 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 

トラック運転手さんが大渋滞で帰れなくなったり、営業マンがミスをして得意先に頭を下げに行ったり、飲食店のホールで酔っ払いに絡まれたり、どんな仕事でも、それぞれに大変なことはあるわけです。



隣の芝生は綺麗に見えるもので、社員の中には毎日飛込営業をするような仕事より、工場勤務のほうが楽しい、と言われる方もいます。

弊社は、ほとんど定時で帰れますし、飛込営業もなければ、お客様に怒られるようなこともありません。

仕事は、楽しいこともあれば、辛いこともあります。

後は、自分の置かれた立場の中で、どうやって楽しむかだと思うのです。



このコラムでは、ライスワークをライフワークに変えるには、というテーマでお話ししたいと思います。

今回もお時間があれば、少しだけお付き合いいただければ幸いです。


 

■ライフワークなんて無理!


2回目のコラムの中で、仕事をライフワークにしていくためには、というお話しをさせていただきました。

まだ読んでいないと言う方は、是非こちらからお読みください。 

お陰様で、このコラムも多くの方に読んでいただき、お会いする方の中にはコラムについてのご意見やご感想をいただくことも増えてきました。

2回目のコラムの中で、ご飯を食べるだけのライスワークより、仕事を楽しむライフワークにしたほうがいいのでは、と言う内容を書かせていただきました。



そんな時、2回目に書いたコラムを読んだ方から、こんなご意見をもらったのです。

 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 

「ライフワークは理想ですが、多くの社員が好きなことで仕事なんてできていないと思いますよ!」

「仕事は、生きていくために少しでも給料のいい会社を選ぶので、好きとか嫌いとか言っていられないのでは?」

「それは社長が考える理想であって、現実にはそんな人は少ないですよ!」




私はビックリしました。

なぜなら私は物作りが大好きで、社会人になった時は、そうした物作りが出来る会社に入社して、毎日がとても充実して楽しかったからです。

自分で好きな会社に入社し、好きなことをしているのだから、皆も楽しいんじゃないの?

と、疑いもなく考えていたのです。



そんな時、ある社長にこのことを相談した所、その方も同じような返答が来たのです。

彼は「僕は今好きな仕事をしているので毎日が楽しいです、でもサラリーマンだった時、仕事が楽しいと感じたことはありませんでしたよ」

私は、えっ!?そうなのですか!と、思わず大きな声を出してしまいました。



ライスワークより、ライフワークと感じている社員が多いと思っていたのに、実は真逆だったのです。

真逆どころか、もしかしたらライフワークとして仕事をしている社員が、ほとんどいないかもしれないと言う事実を知ったのです。



そんな彼が続けてこう言いました。

「仕事を好きになりなさい、仕事を楽しめるようになろう、と社員に言うのではなく、仕事を楽しいと思える環境作りをするのが正木社長のお仕事ではありませんか?」

彼の一言は、頭を鈍器で殴られるように、私の中で大きな衝撃となりました。


 

■社員を変えようと考える前に、まず私自身が変わらなくてはいけない


事実、彼が言うように、私は今まで社員さんに対して仕事を楽しめるような工夫をしたことがなかったのです。

そもそもライスワークとして働いているなら、仕事が楽しくて仕方ないと感じている社員さんは少ないのです。

それなのに私の一方的な思考で、なぜ仕事を楽しめないのか、最近の若い者は・・・などと考えていた自分が恥ずかしくなったのです。



子どもの頃に将来の夢は、と言う作文を書いた時、野球選手と書いた子が実際に野球選手になれる確率はかなり低いです。

と言うことは、彼は今確実に好きなことを仕事にしていないのです。

 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 

それに、本当に好きなことを仕事にしたからといって、その仕事が一切辛くないなんてありえません。

野球選手であれば、見えない所で誰よりも辛い練習をしていた一握りの人がプロになるわけですし、プロになった後も成績などの評価はついて回り悩まれる選手もいます。



好きなことを仕事にしたとしても、それを本当に楽しめている人はどれだけいるのだろうか。

野球で例えるなら、そうした選手のモチベーションを上げ、やる気にさせるのは、やはり監督の采配や力量になります。

現にどんなスポーツでも、監督が変わるだけで強くなるチームが沢山あるのは、監督の力が大きく関わっている証拠なのです。




その監督という立場が、会社でいう所の社長であり、私の仕事なのだと改めて気づかされました。

つまり、社員を変えようと考える前に、まず私自身が変わらなくてはいけないのです。


 

■仕事を楽しいと感じてもらうには


社員さんに少しでも仕事を楽しいと感じてもらうには、どうしたらいいのか。

仕事量を減らすわけにはいきませんし、休みを増やすとか、給料を突然アップすることも現実的ではありません。

現状を変えない、あるいは何か変えたとしても、会社として負担なくやれること。

それでいて社員さんが少しでも楽しいと感じてもらえる会社を作らなくてはいけないのです。



お恥ずかしい話しですが、こうしたことを考えた経験がなかったので、色々な経営者様に相談をしました。

特に同業者ではなく、違う事業をしている社長さんは、どんな工夫をされているのか、とても興味を持ちました。

 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 

そして色々な方からアドバイスをしていただき、目からウロコのお話を沢山伺いました。



なるほど、それなら弊社でもできるかもしれない!

それなら、大きな負担なく社員さんも喜んでくれるかもしれない!


お陰様で、そんなヒントを沢山いただくことができ、今まで私が考えもしないアイデェアを沢山いただきました。



簡単に言うなら、今日仕事終わったらデートしましょう、と好きな異性に言われたら、1日仕事が楽しく思える、こんな発想です。

仕事そのものを楽しむのではなく、周りの環境を変えることで仕事が楽しく思えるという思考です。

どんな理由であれ、毎日が楽しいと思えたら、あなたの人生はとても幸せなものに変わるのではないでしょうか。



 

■数字として社員さんを評価してあげたい!


昨年から正木鉄工所の改革計画を進めていますが、今回、社員さんに楽しく仕事をしてもらえる環境作りは、とても大きな改革だと感じます。

どこまで実現できるかは、今後社内会議をしながら1つ1つ構築し、少しずつ改善していこうと考えています。



色々な改善案を考えていますが、一つだけ綴らせていただこうと思います。

こうしてコラムに書くことで、私自身もダラダラしていられないという意識になりますし、社員さんに見てもらって少しでもワクワクしてもらえたらと思うからです。

まず、それぞれの部署で月に生産する数を具体的に決めて、その数をクリアした人や部署に対して、ちょっとした報酬を出したり表彰しようと考えています。
 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 


え?そんなこと?と思われるかもしれませんが、我々のような工場は毎月ギリギリの数を作っているわけではありません。

不良品も出ますし、急な注文もあるので、ある程度余裕を持って作っています。



だからこそ、このくらい作れば大丈夫、というザックリとした数で問題ないのですが、これが弊社のよくない部分の一つだと感じます。

そこにあえて目標数字を作ることで、個々の社員さんや部署ごとに数字として評価していこうと思ったのです。

それに仕事が好きで、真面目に頑張っている社員さんは、今より優遇してあげたいのです。



どんな仕事も同じだと思いますが、頑張っても頑張らなくても、給料も上がらず評価もされなかったら、やる気が無くなるのも無理がありません。

やる気を持って入社した社員さんも、そんな環境にいたら次第にやる気が無くなってしまうと思うのです。


それなのに、何も知らない私は、仕事を楽しめだの、やる気を出そうなどと言っていたのです。



些細なことでも、認めてもらえて評価してもらえることは、人としてとても嬉しいことです。

それが仕事を楽しいと感じられる一つのきっかけになったら、私としても嬉しいです。




 

■できない理由を考えていたら会社としての進歩はない!


うちの業界はそんなんじゃないから、この仕事はあなたの会社のようなことはできないから・・・

と、できない理由を考えていたら会社として進歩はありません。



他業種の会社でやっていることで、それが社員さんのモチベーションを上げ、結果として会社の業績が伸び、社内の雰囲気が良くなるなら、やってみて損はありません。

それに、こうした取り組みをすることで、社員さんが1人でも仕事が楽しいと思えて、仕事にやりがいを持ってくれたら、大成功だと思います。

やらずに止まっているくらいなら、やってダメなら戻せばいいのです。

 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 

こんな改革をしたからといって、正直、明日から社員さんがガラッと変わるなんて思っていません。

これはマイナス思考ではなく、現実としてそんなに甘くはないと思っているからです。

でも、これを続けていくことで、数か月後か数年後かわかりませんが、1人でも2人でも、社員さんが「正木に入社してよかった」「この仕事が楽しい」と思ってくれたら、やる価値はあります。

自分は変われるが人は変えられない、とよく言われますが、そんなことやってみなければわかりません。

命までとられることはない!

失敗を恐れず、正木鉄工所として挑戦していきます!



 

■最後に・・・


まだまだ私は社長としても半人前ですし、このコラムを読んでくれている社長様からしたら笑われるような小さな問題かもしれません。

でも、私自身が好きなことを仕事にしてきたことで、今現在も楽しい人生だと言えるように、私の会社に来てくれた社員さんが1人でも、楽しい仕事だと感じてもらいたいのです。

無理だと言われる方もいますが、理想を持たなければ現実にはならないと思います。



だからこそ、もしもこのコラムを読んでくれている方がいたら、是非ご意見が欲しいのです。

私の会社はこんなことをしたら社員さんが生き生きと仕事をするようになったよ、と言うアドバイスがありましたら教えてください!

いくつになっても勉強ですし、年上年下、業種、経営年数など関係なくヒントが沢山欲しいです!
 



会社として社員さんは宝物ですし、大袈裟に聞こえるかもしれませんが社員さんは家族のようなものだと思います。

そんな社員さんが、毎日出社するのが楽しいと言ってくれる会社を作るということが、私の新たな夢となりました。

こんな会社ですが、興味を持っていただける人がいたら、一緒に正木鉄工所を盛り上げてください。

共に成長できる会社を目指して、そして仕事を楽しめる会社を目指して、ライスワークからライフワークになれる会社にしていきます!

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 
(有)正木鉄工所 代表取締役 正木利明


 

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