社内改革に抵抗する勢力と向き合う

2024年3月1日 09時00分


正木鉄工所代表コラム 社長コラム
 

■はじめに


こんにちは、正木鉄工所代表の正木利明と申します。

今回も、私のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。



少しずつ雪も溶け、春がすぐそこまで来ていますが、それと同時に花粉も来ています。

花粉症の方には苦しい時期かもしれませんが、外出時はしっかりマスクで対策をされてください。



また3月と言えば卒業式です。

卒業するということは、新たなスタートをきるということで、3月は多くの皆様が人生の岐路に立つ月でもあります。
 

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これから始まる新しい世界へ、不安と期待を胸に飛び込んで行かれると思います。

どんなことも最初から上手くやれるわけではないのだから、気負わず肩の力を抜いて頑張ってください。



このコラムでは「社内改革に抵抗する勢力と向き合う」というテーマでお話ししたいと思います。

今回もお時間があれば、少しだけお付き合いいただければ幸いです。


 

■社長と社員の考えが一致することはない


先日、ある社長さんから経営について相談をされました。

彼は社内で新たな部署を作り、会社としてこれまでやった事のない事業をスタートしたのです。

何度も会議を重ね、新事業を始めるにあたり社員も増やしました。

銀行から融資もしてもらい、設備も整えました。



しかし半年後、社内から不協和音が聞こえるようになってきたそうです。

不協和音は、幹部や管理職からではなく、ほとんどが一般の社員から出ているとのことでした。

 

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「新事業は失敗だったのでは・・・」

「社長は意味のない事業にお金を使いすぎだと思う・・・」

「あんな事業をするくらいなら、俺たちの給料を上げてくれ・・・」

「新事業のせいで残業が増えたじゃないか・・・」

「俺だったら、もっと違うことにお金を使うのに・・・」




誤解の無いように説明するなら、社長には何も意見を言ってはいけないと言うことではなく、文句と意見は違いますよ、と言うこと。

「こうしたらもっと良くなると思う」と言うのは意見であり「こんな仕事を何でやらなくてはいけないのか」は文句なのです。



彼曰く、この事業は今後絶対に需要があると自信を持っているようでした。

だから今のうちに準備をしておくことが大切で、数年後に必ず花が咲くと感じてはじめられたようです。

経営者なので、足元だけを見るのではなく、3年後、5年後を視野に入れて考えていくのは当たり前のことです。

当然ながら経営をしたことがない社員に、社長の考えなど理解できるわけがありません。

とくに一般の社員なら尚更です。



社長と社員が同じ方向を向いて歩けるのなら、それは理想の会社かもしれません。

しかし現実的には心のどこかで不満を感じながら、表面的な部分だけを合わせてついてくる社員の方が多いと感じます。

どれだけ優秀な社員でも、経営者と社員、お金を払う側と貰う側では、考え方が一致することは無いのと思うのです。



彼は、そうした不協和音に自信を無くしていたようですが、気にする事はないと伝えました。

社員に社長の考えは間違っていると言われても、その会社はあなたの会社なのです。

極端に言えば、もし失敗をしたのなら、その尻ぬぐいは自分がするのだから気にする必要はないのです。



もし社員の不満に従って経営し、その結果業績が伸びなかった時、その社員の給料を下げても文句を言わないのなら、良いと思います。

厳しい言い方ですが、責任を取らない人の意見を聞く必要はありません。

自分ならもっと出来ると言うのなら、独立して起業すればいいのです。

そうしたことも出来ず、ぬくぬくと安全地帯にいる中で文句という攻撃をする抵抗勢力には、徹底的に向き合っていくべきなのです。



 

■やりたいことを行動できる人と、やりたいけどやらない人


彼の相談に対して偉そうにアドバイスをしたものの、私自身が同じことをしているかと言えば、正直やっています!と自信を持って言うことは出来ません。

正木鉄工所としても昨年から改革を進めていますが、やりたいと思うことが多すぎて、やれないことの方が圧倒的に多いのです。



また、やりたいと思うことを行動出来る人と、やりたいと思いながらやれない人がいるのなら、私はどちらかと言えば「やれない人」の部類に入る人間だからです。

だからこそ、実行している彼を本当に尊敬するし、羨ましいとすら感じます。

 

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また、そうした不協和音が怖くて行動出来ない所もあり、そんな自分を情けなく感じることもあります。



正木鉄工所として昨年やりたいと思っていたことが10個あるとしたら、現実には1個か2個しか進んでいないのです。

1個か2個進んだと考えるか、1個か2個しか進んでいないと考えるかは人それぞれですが、少なくとも私自身は納得していません。

それは、出来なかったのではなく、私が心の底からやろうとしなかった、というのが正解だと思っているからです。



そして恥ずかしいことですが、心のどこかで失敗したらどうしよう、うまくいかなかったら恥ずかしい、社員に文句を言われたくない、嫌われたくない、現状維持の方が楽だ・・・

と言う、心の奥にある感情が私の行動を止めているのだと思うのです。



これまで与えられた環境の中で仕事をしてきた私は、新しい事業を1から作ることが苦手であり怖いのです。

彼の相談をきっかけに、他人には偉そうに言うくせに自分には甘く、やるやる詐欺をしていると改めて気づいた瞬間でもありました。



 

■私は完全に逃げていました


昨年のコラムで「ライスワークをライフワークに変えるには 」と言う記事を書かせてもらいました。

社員が、ただご飯を食べる為だけに働くライスワークではなく、人生を楽しんで働けるライフワークのような会社にしたいと思ったのです。

この気持ちは今でも変わっていませんが、現実としてライスワークの社員が多いと感じています。



弊社のような工場の多くは、正直言えば「毎日、決まった作業を地道にこなしていく仕事」という部類に入ります。

溶接などの技能も必要ですが、こうした資格も勉強すれば、ほとんどの人が取得できます。

当然、ベテランと新人では溶接の上手さは違いますし、細かく言えば全く同じではありませんが、誰にも取り組めない作業はないのです。

 

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このように毎日決まった作業をすることに、どこまで仕事としてやりがいを感じられるのか、どれだけの社員がライフワークだと思っているかと、考えるまでもなく容易に想像ができます。

もっと言うと、毎日退屈だ・・・、かったるいな・・・、楽しくないな・・・、と思いながら仕事をしている社員のほうが圧倒的に多いのではないかと思うのです。



そうした彼らの不満を薄々感じているからこそ、私の改革に対する行動が足踏みしていることにも気づきました。

私は完全に逃げていたのです。


 

■社長と社員の距離が近いことで起こる弊害


正直、正木鉄工所としての改革は、まだまだ始まったばかりですし、牛歩の歩みほどしか進んでいません。

しかし、そんな状況でも相談をしてきた彼と同じように、弊社も社員から不平や不満の声が出ていたのです。

実は彼の相談を聞きながら、そのほとんどの内容が私の悩みと似ていて驚きました。



そして改めて考えることは、社長は直下の管理職に気持ちよく働いてもらうために努力する。

管理職は、その下の主任や係長に気持ちよく働いてもらうために努力する。

主任は、その下の社員に気持ちよく働いてもらうために努力する。
 

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こうして会社は自分1人で作るのではなく、それぞれの役職者が1つの部署でチームを作りまとめていかなくてはいけません。

最後に、この作ったチームの全体をまとめるのが、社長であり私の仕事なのです。



しかし、正木鉄工所はいい意味でファミリー会社なので、社長である私と社員の距離が近いのです。

だからこそ、いいことも、悪いことも、直接私の耳に入ることから、私自身が臆病になっていたのだと思います。

これでは正木鉄工所としての改革など進むわけがありません。


 

■腐ったミカンは必要ない


正木鉄工所として今年も沢山の改革を進めていく予定です。

それが社長である私の考えであり、今後も5年10年と続く会社にするために必要不可欠と感じているからです。

これまで挑戦してこなかった分野に参入し、新たな事業を進めていきます。

もしも、この私の考えに不満を感じるのなら辞めていただいて構わないと思っています。



言い方は悪いかもしれませんが、腐ったミカンは他のミカンを腐らせてしまうからです。

せっかくやる気を持って入社した社員がいても、腐ったミカンに染まってしまうのなら、それでは社員を守ることも出来ません。
 

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頑張りたいと思っている社員が毒されないように守ることも、私の大切な役目だと思うからです。



以前、ある居酒屋に行った時、酔っ払って他のお客様に絡んでいる人がいました。

それを見たアルバイトのスタッフが、絡んでいるお客様に毅然な対応で「お帰りください!」と言ったのです。

店内は騒然としましたが、絡んでいた人は渋々帰りました。



帰り際、そのスタッフに、「あれは店長に言われたんだよね、嫌な役割だったね、お疲れ様」と伝えました。

しかし、彼女は笑いながら「店長には何も言われていません、あれは私の判断で言いました」と言うのです。

大学生くらいに見える普通の女性アルバイトさんが、個人の判断で1人のお客さんを帰したのです。



私はビックリして聞き直しました。

「そんなことして店長に叱られない?」と。

彼女は笑いながら「叱られないですよ、他のお客様に楽しく食事をして欲しいですし、他のお客様を守るのも私たちの仕事ですから」と言うのです。

彼女の話しを聞いた後、同じことが自分に出来るだろうかと自問自答しました。



おそらく私は、嫌われたくないと思い、彼女と同じことは出来なかったと思います。

そして、そんなことが出来るアルバイトの彼女と、そのアルバイトを育てている店長に尊敬をしました。

これと会社経営は似ていると感じます。

社員に楽しく仕事をしてもらうためには、不協和音を撤去することも大切な社長の仕事だと思うのです。


 

■最後に・・・


正木鉄工所を変えたいと思うなら、何よりも私自身が変わらなくてはいけません。

部下や社員に変われ変われと言うばかりで、自分は逃げてばかりで変わろうとしなければ、誰も私を信用してはくれません。

人は簡単には変えられない、変えられるのは自分だけ、なのです。



正木鉄工所として、まずは私自身が変わっていきます。

そして、私の考えに賛同し一緒に歩いてくれる社員と共に、もっともっと成長していきます。

どんな仕事についても、どんな会社に入社しても、何もかも完璧な所は少ないと思います。

不満もあると思うし、楽しくないこともあると思います。

 

それでも、その会社にいると決めたなら、それはあなたの判断で決めた道なので、文句を言ってはいけないと思うのです。

そして文句を言うのなら、転職するなり独立するなり別の道へ進む方が、お互い幸せになると思います。



仕事は、楽しいこともあれば、苦しいことがあるのは当たり前です。

苦しくなった時に逃げるのなら、その先に進歩も成長もありません。

私も含め、苦しい時、辛くなった時こそ、あなたの進化が問われる時です。


私は変わります。あなたはどうしますか?

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

香川 鉄工所 正木利明代表 コラム
 
(有)正木鉄工所 代表取締役 正木利明


 

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